愛犬の問題行動に悩んだとき、多くの方がまず検索したり、知人やSNSで情報を集めたりするのではないでしょうか。
けれど、出てくる情報はバラバラです。
「叱ってしつけるべき」
「絶対に叱ってはいけない」
「毅然とした態度で」
「とにかく優しく寄り添って」
……結局、どれが正解なのでしょうか。
情報が溢れ、みんな言うことが違う。それも無理はありません。なぜなら、シンプルで即効性がありそうなアドバイスほど、魅力的に見えてしまうからです。
けれど、そうしたアドバイスの多くは「あなたの犬」に特化したものではありません。だから、うまくいかないことの方が多いのです。

■プロに相談しても、答えがバラバラな理由
だからこそ専門家に相談する。けれど、ここにも難しさがあります。
獣医師やトリマーが、必ずしも「行動の専門家」とは限りません。トレーナーであっても、知識のアップデートに差があることもあります。
皆さん一生懸命であることに変わりはありませんが、専門領域が違うのです。そして、飼い主さん側からその違いを見分けるのは、とても難しいことです。
■結論:「行動が起きた時点で、もう遅い」
十数年間、数え切れないほどの犬たちと飼い主さんに向き合ってきた中で、確信していることがあります。
「問題行動が起きた時点で、その行動を変えようとするのはもう遅い。そのときにできることは、それが少しでも持続しないようにすることだけ」
吠えることも、噛むことも、すべて同じです。なぜなら、行動は「すればするほど上手になる」からです。
私たちが勉強やスポーツで、練習を重ねるうちにだんだんスムーズにできるようになっていくのと同じように、犬の行動も繰り返すことで熟練していきます。
そして、それは人にとって都合の良い行動だけではありません。吠えれば吠えるほど「吠えるのが上手」になってしまうのです。

■犬の問題行動には、必ず理由がある
犬がとる行動には、ほとんどの場合、次の2つが当てはまります。
・その行動をする理由がある
・その行動をして、何かしらの「良い結果(強化)」を経験したことがある
たとえば、何かに吠えることが「都合が悪い」と感じたとします。けれど、吠えた瞬間、その犬の中ではすでに経験値が加算されています。
だからこそ、吠えた後にできることは限られていて、せめてその場でこれ以上続かないようにする、という応急処置的な対応しかできないのです。
叱ることは、この場面ではおすすめできません。犬にとって単純につらいだけでなく、別の問題行動が新たに起きる可能性が高くなるからです。

■根本的に解決するために
本当に大切なのは、「その問題が起きる前に何ができるか」を考えることです。
行動が起きてから対処するのではなく、そもそも経験値が加算される場面を作らないこと。
そのためにまず必要なのは、その行動が起きる「理由」を知ることです。
考えられる理由をいくつか洗い出し、そこから検証していくプロセスが、根本的な改善への近道になります。

■もっと詳しく知りたい方へ
この記事でお伝えした考え方は、実は入り口の部分です。
noteでは、実際のケース(散歩に行きたくてたまらない犬の事例など)を交えながら、応用行動分析学(ABA)の視点でより具体的に「行動の機能」を読み解く有料記事を公開しています。
ご興味のある方は、あわせてご覧ください。